📚「ぼくは川のように話す」

【 お 知 ら せ 】

「吃音」のある作者の、少年時代の実話物語…。

 朝、目をさますといつも、ぼくのまわりはことばの音だらけ。
 そして、ぼくには、うまくいえない音がある。
 先生がぼくをさすと、みんながいっせいにふりかえる。
 みんなに聞こえるのは、みんなと違うぼくの喋り方だけ。
 見えるのは、ただ、ぼくのゆがんだ顔とかくしきれないびくびくした心だけ。
 放課後、おとうさんの車がまっていた。「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」
 おとうさんは、ぼくを川へつれていった。
「おまえは、川のように話してるんだ」
   ー ぼくは川のように話す。

少年は言葉が舌に絡みつき、喉の奥に引っかかり、呻くしかない。

日々、重たい気持ちのまま学校へ向かいます。

そんな少年を救ったのは、お父さんの言葉でした…。

重たいテーマのように感じますが、苦しみの中に美しさを含ませた、豊かな日本語表現が、想像を膨らませ、繊細な少年の心を近くに感じさせてくれます

さらに、滲みのある瑞々しくもダイナミックな絵が、少年の心の風景へと導いてくれます。

言葉が自分の意志とは違った形で表出することの戸惑いは、当事者でなければ、本当の気持ちはわからないのかもしれません。

しかし、物語の中で、少年と苦しみを分かち合い、最後に、自然の生命力と共に、少年が少年として生まれ変わった瞬間…、見えてきた新しい景色とともに、穏やかな気持ちで本を閉じることでしょう 🤗

みんな違って みんないい。

あなたは あなたのまま。

そんな環境が、呼吸と同じくらいごく自然で、当たり前であるといいな…と思います 🤗

悩み苦しむ子どもを救うのは、近くの大人の、ささやかな言葉だったりするのかもしれないですね 🍀

お父さんの言葉が、穏やかな川の流れのように、読者の心に届きますように… ✨

すばらしい和訳にしてくださった、訳者の原田 勝さんにも感謝してやみません。

是非一度、手に取ってみてください。

文責:田場 依子

出典

ジョーダン・スコット / 文  シドニー・スミス / 絵  原田 勝 / 訳  偕成社  初版 / 2021年

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