「吃音」のある作者の、少年時代の実話物語…。
朝、目をさますといつも、ぼくのまわりはことばの音だらけ。
そして、ぼくには、うまくいえない音がある。
先生がぼくをさすと、みんながいっせいにふりかえる。
みんなに聞こえるのは、みんなと違うぼくの喋り方だけ。
見えるのは、ただ、ぼくのゆがんだ顔とかくしきれないびくびくした心だけ。
放課後、おとうさんの車がまっていた。「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」
おとうさんは、ぼくを川へつれていった。
「おまえは、川のように話してるんだ」
ー ぼくは川のように話す。
少年は言葉が舌に絡みつき、喉の奥に引っかかり、呻くしかない。
日々、重たい気持ちのまま学校へ向かいます。
そんな少年を救ったのは、お父さんの言葉でした…。
重たいテーマのように感じますが、苦しみの中に美しさを含ませた、豊かな日本語表現が、想像を膨らませ、繊細な少年の心を近くに感じさせてくれます。
さらに、滲みのある瑞々しくもダイナミックな絵が、少年の心の風景へと導いてくれます。
言葉が自分の意志とは違った形で表出することの戸惑いは、当事者でなければ、本当の気持ちはわからないのかもしれません。
しかし、物語の中で、少年と苦しみを分かち合い、最後に、自然の生命力と共に、少年が少年として生まれ変わった瞬間…、見えてきた新しい景色とともに、穏やかな気持ちで本を閉じることでしょう 🤗
みんな違って みんないい。
あなたは あなたのまま。
そんな環境が、呼吸と同じくらいごく自然で、当たり前であるといいな…と思います 🤗
悩み苦しむ子どもを救うのは、近くの大人の、ささやかな言葉だったりするのかもしれないですね 🍀
お父さんの言葉が、穏やかな川の流れのように、読者の心に届きますように… ✨
すばらしい和訳にしてくださった、訳者の原田 勝さんにも感謝してやみません。
是非一度、手に取ってみてください。
文責:田場 依子
出典
ジョーダン・スコット / 文 シドニー・スミス / 絵 原田 勝 / 訳 偕成社 初版 / 2021年


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